レースコースが自分の故郷に入った選手が、先頭に飛び出してきて、沿道にいた家族と抱擁したり、地元の声援に答えて嬉しそうだったわ。
選手同士は尊重しあってレースを走ってるんだ。
勝敗に影響がなければ、選手たちが協力して見せ場のような感じを作ってくれるんだ。
レース中、選手には「紳士的に」や「スポーツマンらしく」が求めれます。
ロードレースの世界にも、選手たちが共有する暗黙のルールが存在しています。
一般的に紳士協定ともいわれますよね。
レースの公平さや選手の安全を守るためにとられる行動で、公式なルールブックには記載されていません。
この記事では知っておくと、さらにツール・ド・フランスを楽しめる暗黙のルールをご紹介します。
- トイレはみんなで一緒に。
- 集団落車やトラブルなどが起こった時にレースで優位なるようなことはしない。
- 他のチームの選手であっても飲料水や食料は分け合う。
- 誕生日や引退、故郷や出身国がコースになっている場合はその選手にレース先頭を譲る。
- 「ツール・ド・フランス」とはフランス一周という意味ですが、近年では他の近隣国もコースに入っています。
- 最終ステージは戦わない。
選手に課せられる暗黙のルール
選手間の非公式な合意
選手はレース中、必要なすべてのことを自転車の上で行います。
トイレもそのうちの1つ。
走行中にある選手がトイレとなると、それに合わせて他の選手もトイレです。自然現象で特定の選手がレースに遅れをとってしまうことを防ぐためですね。
ただ、トイレといってもコース上に施設が用意されているわけではありません。コース脇に寄って止まり、そのまま用を足します。いわゆる「立ちション」です。
ほどんどの選手はロードバイクから降りることはせずに、徐行しながらします・・
レース中に選手がスピードを落として、コースの脇に寄っていくと、メカトラブルを予想して中継カメラが選手を追って映していることがあります。
ですが、選手のそれとわかった瞬間にカメラは逸れます!(笑)
世界35億人が見てるともいわれるレースでこんなことある!?と、驚くことの1つです 。
集団(プロトン)内の秩序
レースの安全を守る選手たち
ツール・ド・フランスのレースでは、プロトンとよばれる大きな集団が形成されます。
トップ・プロが形成する集団は特に密集度が高く、高速で走るので事故や危険を未然に防ぐための行動はとても重要です。
危険を避けるため、選手たちはジェスチャーで後続の選手に注意を促します。
例えば、日本ではあまり馴染みがないですが、フランスでは道路(コース)の中央に分離帯がたくさんあります。
集団の中にいるとコース前方が見えにくく、障害物の認識が遅れて落車の危険があります。
この時、先頭にいる選手や障害物をいちはやく認識した選手は後ろの選手に手信号、目配せといった非言語コミュニケーションを通じて、チームの垣根を越えて危険を知らせる行動をします。
また、大規模な落車が起こった場合、落車を免れた選手や別の集団は速度を落として走ります。
少人数の落車でも優勝に絡んでいる重要な選手だったりすると、ライバル選手が速度を落としてくれるなど、紳士的なふるまいを観ることがあります。
このような暗黙のルールはロードレースの美学を維持するために必要不可欠で、選手たちによる互いへの敬意と理解が根底にあるのだと思います。
リーダージャージ保有チームが集団を引く
リーダージャージ(マイヨ・ジョーヌ)を着用している選手が所属するチームが、集団(プロトン)の先頭を走るという暗黙のルールもあります。
先頭を走ると直接風を受けます。時速60km以上で走行するプロ選手には、この空気抵抗を受けるポジションに長くいることが一番つらく、体力を消耗します。
もしも、毎ステージ集団を引き続けることになる場合、チームの戦略として、リーダージャージを手放す判断をする場合もあるようです。
公式のルールではないにも関わらず、暗黙のルールはここまで重要視されています。
実は、逃げ集団などで行われている先頭交代も、選手たちが自主的に行っているだけで「先頭交代を行なわなければならない」という公式ルールはないんです。
故郷を走る選手にエールを送るスポーツマンシップ
2022年はデンマーク 2023年はスペインのビルバオがツール・ド・フランスのスタートでした。
ツール・ド・フランスに出場している選手が、自分の国やフランスの選手が自身の故郷がコースに含まれている目立つように先頭を走る時があります。
その時は集団もそれを容認し、スピードを上げて追いかけるようなことはしません。
沿道に応援に来た家族と抱擁したり、地元の応援に答えながら走ったり心温まるシーンを見られることがあります。
驚き!最終ステージは戦わない
最終レース中に祝杯!?
さあ、最終ステージ!
あの選手とこの選手の優勝争いをみてきたけど、最後はどっちが表彰台に!?
ワクワクして最終ステージを楽しみにしていると、かなりガッカリすることになります。
実はここに大きな暗黙のルールが存在します。
まさかの「最終ステージは戦わない」です! 初めて見ると、うそでしょ!!ってなります・・
事実上、第20ステージで総合優勝は決定し、パリで行われる最終ステージはいわばパレードラン。
勝利したチームはシャンパン片手に記念撮影。それも自転車で走りながらです(笑)
競技真っ最中に酒杯をあげるって他にないような気がします。
ですが、最終第21ステージのステージ優勝は戦って勝ち取らなくてはなりません。
ゴール前のスプリントは見逃さないように気を付けて下さい!
まとめ
ツール・ド・フランスの歴史を背負う選手たち
ツール・ド・フランスをはじめとするロードレースに存在する暗黙のルールをいくつかご紹介しました。
これを知ったみなさんは、さらにツール・ド・フランスを楽しめることでしょう!
プロ選手ならだれもが出場を夢みるツール・ド・フランス。
ロードレースの最高峰といわれるツール・ド・フランス。
選手たちの紳士的な振る舞いによっても、レース存在の威厳が守られ、勝負の激しさと安全性を両立させるための努力がなされているように思います。
その選手たちの行為を無駄にしない為にも、声援する観客側もモラルを守った応援をするべきですよね。